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カイゴの学校

介護について、現場での体験を交えながら、分かりやすく。

【 タイプ別 】これがリアルな高齢ドライバーだ!

こんばんわ。今週のサッカー日本代表戦、すごく盛り上がりましたね。

若手世代の台頭が見れて、スカッとしました。次戦の楽しみです。

 

さて。盛り上がっているといえば「高齢ドライバー」という言葉。

ネガティブなイメージでひとくくりにされていますが、

実際のところは、どうなのか。

 

私が介護の認定調査でお会いしたリアルな高齢者の情報も交えながら、

「高齢ドライバー」について考えていきたいと思います。

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高齢ドライバーとは

そもそも高齢ドライバーとは、免許の更新に「認知機能検査」を受ける必要のある75歳以上を指すようです。

 

高齢ドライバー問題とは高齢“男性”ドライバー問題である

実際に数字はどうなっているのか。気になったので調べてみました。警察庁の「運転免許統計(平成25年版)」では、以下のようになっていました。

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https://www.npa.go.jp/toukei/menkyo/pdf/h25_main.pdf

 

平均寿命が長いのは、女性です。子どもでも知っている事実です。

実際、高齢者の施設は、おばあちゃん達でいっぱいです。

そういったこともあって、下記のようなイメージをお持ちの方も多いかと思います。

 

『高齢者→女性→おばあちゃんのドライバー→あわてて→事故』

 

しかし実際は、表からも分かるように、

75歳以上の免許保有者の大半が男性なんですね。

 

つまり、

高齢ドライバー問題とは高齢“男性”ドライバー問題である と言えるかと思います。

それでは、高齢“男性”ドライバーにフォーカスし、さらに細かく見ていきたいと思います。

 

高齢“男性”ドライバーは8タイプに分かれる

これは高齢ドライバーに限ったことではないですが、3つの軸に注目しカテゴライズすることで、本人の生活パターンを、一般の人でもイメージしやすいようになります。あくまで私が考えたメソッドですので、もう少し分かりやすい軸もあるかも知れないですが。

 

1.認知症かor そうでないか

→初期の認知症か、そうでないか

2.歩行能力が残っているかor そうでないか

→近所のスーパーまで歩いていけるか、そうでないか

3.独り暮らしかor そうでないか

→独りくらしか、家族と住んでいるか

それぞれ2通りずつありますので、2×2×2=8タイプ に分かれることになります。

 

1認知症である-歩行能力が残っている-独り暮らし

2認知症である-歩行能力が残っている-独り暮らしではない(家族と同居)

3認知症である-歩行能力が残っていない-独り暮らし

4認知症である-歩行能力が残っていない-独り暮らしではない(家族と同居)

 

5認知症ではない-歩行能力が残っている-独り暮らし

6認知症ではない-歩行能力が残っている-独り暮らしではない(家族と同居)

7認知症ではない-歩行能力が残っていない-独り暮らし

8認知症ではない-歩行能力が残っていない-独り暮らしではない(家族と同居)

 

 

8タイプの詳細を見てみる 

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認知症である-歩行能力が残っている-独り暮らし

→部屋の片付けが面倒になってきた。近所のスーパーまでは歩いていくことができるが、何だかそれも面倒くさい。妻がなくなってもうすぐ1年。あの頃は全て妻がやっていたなあ。そういえば、あの通帳はどこへやったのだろう。買い物から戻ったら探さないと。最近ふと、何をしているのか分からなくなる。多分、同じ道なのだが、どうやって帰っていいか思い出せない。どうしてだろう。それにしても、車で良かった。車があれば、何時間乗っていても、周りはおかしいとは思わないだろう。それに特にやることも無いのだから、時間がかかったって構わない。誰に迷惑かけている訳でもない。

 

認知症である-歩行能力が残っている-独り暮らしではない(家族と同居)

→最近、いろいろと忘れてしまうことが多い。妻や娘も「大丈夫?」と何度も聞く。正直うるさい。誰にだって物忘れはある。年相応なんだ、年相応。カラダだって、未だこんなに動く。薬の飲み忘れだって言うほど多くないはずなのに、大げさに張り紙なんかしやがって。子どもじゃないんだよ。少しくらい飲み忘れたって死にゃあしない。まあ、正直、それで死ねるなら死んでいい。オレが若い時、汗水たらしたから、今の家がある。車がある。それを取り上げるだ?ふざけるな。運転せずに、近所で過ごせって?遠出するならバスを乗り継げって?冗談じゃない。事故ったら、乗らない。事故ったら。

 

認知症である-歩行能力が残っていない-独り暮らし

→自分の家なのに、もうどれくらい2階に行っていないんだろう。ここ半年以上、掃除もしていない。人に会う予定もないし、汗もそんなにかかないから、風呂だって1週間に一度程度。誰にも迷惑はかけていないはずだ。脊柱管狭窄症と付き合ってから、もう5年。いや10年か。膝下のしびれは、いっこうに良くならない。夜中も痛み止めを飲まないと眠れないほどだ。居間から玄関までが遠い。壁を伝って、どうにか辿り着く頃には、息切れが止まらない。スーパーは、もっと遠い。遠すぎる。どうにか車を運転できるから良いが、もしもできなったとしたらゾッとする。今日も同じ惣菜が冷蔵庫に並ぶ。もう何度目だろう。

 

認知症である-歩行能力が残っていない-独り暮らしではない(家族と同居)

→ちょうど1年前。いや、2年前か。近所のスーパーへ行くはずが、高速へ乗ってしまい他県へ。何だかわけも分からず路肩に止めていたところで警察に保護されて。怒った娘に免許と車の鍵を隠されてしまった。それ以来、散歩と言えば、家の外周のみ。それでも壁を伝って15分はかかる。夏場や真冬は無理だから、結局、家の中で寝たり起きたり。季節かまわず、雨の日は、絶対に出ることはない。杖をついて傘を指すのは不可能だからだ。意気揚々と海外を仕事で飛び回っていた頃が懐かしい。そういえば、もう夕方なのに、今日は1日もご飯を食べていない。娘の嫌がらせも、激しくなってきた。。あれは、娘なのか。名前も思い出せない。

 

認知症ではない-歩行能力が残っている-独り暮らし

→妻が死んで、まだ半年。会話をするのは、スーパーの定員くらい。ボケ防止のためと、毎日をパソコンに記録している。血圧、体温、食べた物。指を動かすことが脳に良いと、学生時代にやっていたピアノを弾き始めた。料理は作ろうと思えばできるが、何となく配食サービスで済ましている。味に飽きたら、コンビニで何か買えば良い。近所にお年寄り向けのリハビリをやっている施設が出来たようだ。気になって車で行ってみたら、「ドライバー募集を見て来られた方ですか」だと。確かに、五体満足だし、昔から若く見られるし、これで80を超えましたなんて行ったら、相手は腰を抜かすかも知れない。そう、オレは若い。まだ何でもやれる。でも、やる事がなくて困っている。

 

認知症ではない-歩行能力が残っている-独り暮らしではない(家族と同居)

→息子と住んでもう7、8年か。妻が施設に入ってからだから、それくらいか。日中は、息子は仕事だから、家に独り。他県から移り住んだこともあって、知り合いもいない。近所のコンビニに行ったり、図書館で本を読んで過ごしたりしている。話相手はいない。気が付くと独り言をしゃべっている。「危ないから」と、息子は車を運転するのをやめろと言う。たしかに、車に乗るのは施設で面会するための週に1回程度しかないから、やめたっていい。その代わり条件がある。妻の施設を、もっと近くにしてもらえないか。そもそもなぜ自宅で面倒見ることはダメなのか。お前の母であり、私の妻なんだぞ。

 

認知症ではない-歩行能力が残っていない-独り暮らし

→分かっている。本当は、何か行政がやってくれるって事を。電話一本、「困っています」とつぶやけば、今の暮らしが、はるかに楽になる。それでも私は昔から独りで生きてきた。何を今更。私よりも身体的に大変な人はいっぱいいるんだろ?私は一番最後でいい。杖は使うが、車椅子には乗らずに済んでいる。車だって運転できる。与えなくていいから、奪わないでほしい。傍から見ると、危なっかしいだろうけど、まだできる、できるんだよ。

 

認知症ではない-歩行能力が残っていない-独り暮らしではない(家族と同居)

→ 昨日、また車をぶつけてしまった。「何回目なの?」と、妻と娘に文句を言われるのには、もう慣れた。どうせ、そんなに高くない車だ。誰かを轢いた訳ではないのに、なぜそんなにも怒るのだろうか。家に居たら居たで、「転ばないでよ」のオンパレード。転んで痛いのはオレなんだよ。好きにさせてくれ。腰も膝も、そりゃ痛むけど、運転している瞬間の心地よさがそれを忘れさせてくれる。自転車でフラツイている人より、よっぽど安全な気がするが。

 

 免許返納に対する施策

 現在のところ、免許更新のための検査の頻度を増やす、または、特典つきで自主返納を促す、2点のみの対策が検討されているかと思うのですが、上記8タイプの高齢“男性”ドライバーの心理を考慮した場合、その施策は果たしてマッチしたものとなっているのでしょうか。激しく、疑問です。 

 

山口県警

買い物をした荷物を無料で配送するサービス。
県内に14店舗を展開するスーパーの協力で実現しました。

 


京都府

  【サービス内容の例】

 


島根県

県内の一部の自治体や交通機関では、バスやタクシーの運賃割引制度を導入する等、運転免許証を自主返納する際の支援施策が実施されています。

島根県:高齢ドライバーについて(トップ / 県政・統計 / 政策・財政 / 広聴・広報 / 県民ホットライン / 今までにいただいたご提案と回答 / 2016年2月)

 

最後に一言

今回、私が介護の認定調査で各家庭を訪問した際の聞き取りをもとに、8タイプのドライバー心理を記してみました。

 ご本人の発言を、私というフィルターを通して書き出したものですので、わずかにズレがあるかと思うのですが、おおよそ上記のような形に収まるかと思います。

 自動運転などの技術が導入されれば、また状況も変わってくるかとも思いますが、現段階では、当事者の生活心理プロセスに沿う形で、施策を考えていく必要があるのかなあと。

 

長くなりましたが、本日はここまで。

 

 Tomorrow never comes!  see,you!
(明日は必ずやってくるとは限らない→今日できることは、今日せよ!)